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サマリタンズホームページより/26号

 

2020年11月18日発行

■自傷について

解題:サマリタンズは、自傷行為を減らすことが自殺を減らす手がかりになると考え、いろいろな角度から自傷する人のケアについて取り組んでいます。サマリタンズが発信している多くの自傷に関する情報からいくつかを選び訳出しました。

自傷とは何か?

 自傷とは故意に自らを傷つけることを言います。それには色々なやり方がありますが、全ての自傷は深刻でこころの悩みの兆候です。自傷は感情を抑えるには効果的な方法ではないことを示す、多くの根拠があります。自傷する人が、これに取って代わる健康的な対処方法を生み出せるように支援されることが重要です。自傷行為はそれぞれ個人で異なります。アルコール、薬の誤用、そして摂食障害は非常に深刻ですが、通常自傷とは見なされていません。

なぜ人は自傷するのか?
 自傷の理由は複雑で、一つのことの結果であることはまれです。自傷行為は、辛い感情からの解放感を味わうために、あるいは口に出すのが難しい感情のはけ口に、しばしば用いられます。自傷をする人は辛さをとりわけ強く感じ、彼等が辛いと思う考えや気持をことに避けようとするのを私たちは知っています。自傷は繰り返される行為となり、こころの悩みへの対処として使われます。

自傷は自殺志向を意味するのか?
 誰かが自傷しているからと言って、彼等が自殺志向であるとは言えません。しかしながら、自傷と自殺の間には関係があり、自傷するほとんどの人がいのちを絶つ行為に走ることはありませんが、それは深刻なこころの悩みの兆候で、いつも慎重に対処されるべきです。いのちを絶とうと思わないで自傷する一部の人でも、自殺したくなる思いを経験するかもしれません。 これは時を経て変化し、自殺したくなる思いは行ったり来たりします。

出典:Home>How we can help>Support and information >If you’re worried about someone else>If someone you know is self-harming



サマリタンズは自傷行為を減らすことが自殺防止の手がかりと考えています

 世界自殺予防デーを記念して、サマリタンズは年次自殺統計資料を発行しました。この統計は、連合王国(UK)全体、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド、およびアイルランド共和国から得られた最新の自殺データを集約し、ごく新しい傾向を要約しています。

 先週、UKの自殺率がここ5年で初めて上昇したことが発表されました。これには若い人の自殺の増加と、25才以下の女性の自殺率が記録上最も高かったことが含まれています。自傷は将来の自殺リスクを確実に予測するので、自殺防止を先導する慈善団体(サマリタンズ)は、若者の間に増加している自傷を理解することに、さらなる焦点を当てています。私たちが自傷する人をサポートできるようになるためには、自傷と自殺の関連性をより深く理解する必要があります。 サマリタンズの年次自殺統計は、ここ15年間にわたる若者の自傷の増加がなぜ重大な関心事であるかを明らかにしています。

・自傷は、他の年齢層よりも若い人の間でより頻繁に行われていて、特に若い女性でその傾向が強い。16〜24才の女性の4分の1以上が、ある時点で自傷を行っています。
・自傷は深刻な心の悩みの兆候で、自傷するほとんどの人は自殺にまで到りませんが、長期にわたる自傷は自殺したい思いを持ち始めることに繋がります。
・若い人の自傷が増えることは、この人たちの苦悩への通常の反応と判断される自傷へと結びつき、心の悩みへの長期にわたる反応となっていくかも知れません。
・若い人(16〜34才)は、自傷を扱っている公共医療機関に年上の人よりも接触が少ないので、彼らが必要とする支援を受けていない可能性があります。

 サマリタンズは、自傷行為にまつわる理解と自傷する人が利用できる支援の向上を目指す、新しい考え方と調査プログラムを開始しました。慈善団体(サマリタンズ)は自傷行為をしてきた若い人と一緒に調査を進め、自傷と自殺の関係という課題に取り組むため、方針立案者と密接に仕事を進めて行きます。

出典:Home>News(10th September 2019)



自傷したくなったら
 あなたが時には自傷について考えてしまう、あるいは既に自傷しているなら、私たちに話して下さい。いつでもお聴きします。話しながら強制したり判断したりはしません。私たちが受ける10本の電話のうち、1本は自傷についての電話です。そして多くの人は、その時自傷をしないで済ませるよう電話して来ています。116 123に電話して下さい。電話代はかかりません。

必要な支援を受けるには
 支援を求めることが大切な第一ステップです。NHS(National Health Service)は自傷している人は、かかりつけのGP(General Practitioner:家庭医)に相談することから始めることを奨めています。もし自傷行為をして緊急の医療処置が必要な場合、支援を受ける最短の方法は999で救急車を呼ぶことです。 もしあなたが望むなら、私たちが代わって救急車を呼ぶこともできます。あなたのGPはあなたの自傷を慎重に扱うはずです。あなたを助けるためにGPがこの時何をできるか、さらに読んで得られる情報があります。あなたが必要としている助けを提供されていないと思っている時は、別の医師にいつでも相談できることを覚えていて下さい。 あなたのGPはこのことにどう対処すべきか助言できるはずです。さらなる支援を求め、医院の予約に同行してもらえるよう友人や家族に頼むことは役に立ちます。

自傷したい気持です。どのようにサマリタンズは助けてくれますか?
 辛い時間を過ごしている人のためにサマリタンズはあり、多くの相談者は感情に寄り添い支援する電話の中で、自傷について話してくれます。あなたがどんなことに直面していても、私たちは一日24時間、一年365日、あなたの話を傾聴するためここにいます。判断したり強制したりすることはしません。

出典:Home>How we can help>Support and informa-tion>If you’re having difficult time



もしあなたの知っている人が自傷していたら
 自傷する人は、彼等自身で悩みに対処すべき、あるいは彼等の自傷行為を口に出すほど大きな問題ではないと認識しているのかもしれません。彼等がそれを話したがらない理由は、
・精神的な重荷を負っていると思いたくない
・人が秘密を守ってくれると信じていない
・注目して欲しいだけと思われ、退けられることを怖れている
・やっていることとなぜやっているかを、人が理解してくれるとは思っていない
・人が否定的に反応する、あるいは過剰に反応することを怖れている

 多くの人は助けを求めることに迷っていて、周囲の人が事前に支援の手を差し伸べてくれるのを望んでいます。自傷について会話することは難しいですが、そうすることは彼等の人生に大きな変化をもたらします。開かれた会話を推し進め、最善の支援とするべく、彼等を以下の方法で支援できます。
・判断することはしないで傾聴し応答する
・穏やかな態度で
・彼等の悩みの深さを知る
・彼等の自傷の背景にある気持と感情に集中する
・彼等を助ける最良の方法を考え、彼等が支援を見いだせるよう手助けをする
・あなたの時間を公に提供し、あなたが彼等を支援するための人であることを確実に理解して頂く

 私たちには、彼等がこころを開いてくれることをいかに支援するかについて、いくつかの提案があります。これには良い聴き手になるための助言も含まれています。両親や保護者のためのさらなるガイダンスがオックスフォード大学から出ています。加えて、自傷する人を支援するその他の情報へのリンクもあります。
 もしあなたが知っている人が心配ならば、116 123へ電話下さい。私たちは彼等と話をすることが出来ます。あなたが誰かを支援する時、あなた自身のこころが平穏であることに心掛けることが大事なのを忘れないで下さい。あなたを悩ます何についてでも、大きいことでも小さいことでもかまいませんので相談して下さい。

出典:Home>How we can help>Support and informa-tion>If you’re worried about someone else



自傷についての俗説と事実

解題:自傷について世間一般に言われていること(俗説)には、事実と異なることがあります。サマリタンズはこれらを対比して説明しています。

【俗説】
 自傷は感情的な行為に過ぎず、今日の若者文化の一部です
【事実】 自傷行為をする特定の人がいるということではありません。どんな年齢層、経歴や人種、そして外向的か内向的かにかかわらず、誰でも行うことがあります。「友人たちや人前であなたは問題ない人と見えるかもしれない。しかし、落ち込んでいる表情を見せながら、そして自分自身を情けなく思いながら出歩きたくないということなのです。」17歳のJDは言います。 「自身を外部にどう見せるかに対し内心とは異なっていて、それが少しだけ表に出ているのです。だからあなたは誰かをちょっと見て彼等が自傷しているとは言えないのです。」

【俗説】 それは一時的なもので、彼等はまもなくそれを克服し自傷を止めます
【事実】 一部の若者は自傷を繰り返すのに対し、他の人は一度だけあるいは時によりそれを行います。一部の人にとって、自傷は特定の問題に対処する方法の一つで、問題が片づけば一旦それをやめます。他の人は数年にわたり自傷を行い、あるいは、ある種の重圧や問題を感ずるといつも自傷します。 自傷行為は一部の人にとっては習慣的な行為になりうるのです。人に「それをやめなさい」と言うのは効き目がなく、彼等を疎外する可能性があります。彼等は他のもっと危険な対処方法を見いだすかもしれないし、あるいは、もし彼等がそれをやめることが出来ないことで、人を失望させてしまうと感じるからです。 それは彼等の重圧感を増し、失敗感を増すことになります。彼等は回復するため、そしてこころの痛みとストレスに対処する他の方法を学ぶための、支援と理解を必要としています。

【俗説】 彼等は注目して欲しいがためにそれをやっている
【事実】 裸になって大通りを駆け抜けるのは注目を集めたいからですが、自傷は大変内密で個人的なものです。自傷する人は彼等の傷を隠すのにたいてい長い時間を費やします。自傷行為への関心はしばしば否定的です。一部の人にとって自傷は苦しみからの解放であり、他の人の注意を惹きつけたりしないし、また惹きつける必要もないのです。それは内密に行われ、内密に扱われ、覆いで隠されてしまいます。 自傷は感情を巧みに扱う行為ではなく、自傷している多くの人は、彼等の自傷が他の人へ影響していることに大抵気づいていません。自傷する人は、このことにより、感じている羞恥心と何が起きているかを話すのが難しい経験をするので、さらに誰からも孤立しているとしばしば感じます。

【俗説】 自傷する人は自殺したいと思っている
【事実】 自傷する一部の人は、それを、生きていることを実感するため、彼等が直面している困難に対処するための行為とわかっています。多くの人にとって、自傷は肉体的な苦痛を加えることではなく、こころの痛みに対処することなのです。チャイルドライン(ChildLine)や他の子供サポートラインは、怒りや欲求不満など発散されない感情が自傷の背景にしばしばあり、これらの感情が高まるのを不健全ながら鎮めるはけ口を自傷が提供している、と確信しています。 自傷を引き起こす他の要因は、問題ある家庭環境や、生き方に抑えが効かない大勢の人に共通する感情です。自傷は苦痛から逃れる方法です。言ってみれば、多くの人が他の人の見えないところで泣いて対処するのに対し、一部の人は辛い感情に対処する方法が見つからないとき自傷に至るのです。

【俗説】 自傷する子供は性的に虐待されている
【事実】 肉体的に、性的に、あるいは精神的に虐待されている一部の人は自傷することがありますが、自傷しているほとんどの人がこの理由によるということではありません。多くの異なったきっかけがあり、若い人には最初に自傷した時の確かな誘因を指摘するのが大抵難しいです。多くの人にとって、自傷は緊張、ストレスあるいは重圧を和らげる行為なのです。 専門的な支援は、一部の自傷する人に問題の根本に立ち戻らせます。
 一部の人は、家族、学校そして友だち仲間からの重圧に、他に対処する方法が見いだせないので自らを傷つけます。極端な怖れ、怒り、罪悪感、羞恥心、無力感、自己嫌悪、不幸そして憂鬱感が時が経つにつれ高まります。これらの感情に耐えられなくなった時、自傷行為はこれらに対処する手段になります。

若い人が自傷する理由として揚げること
・精神的重圧が高くなりすぎた時、それは安全弁の役目を果たす
   ―すなわち、緊張を和らげる手段
・切って血を出す行為がいやな感情を消し去る
・痛みが、無感覚で死んでいるような内心に生きていることを感じさせる
・羞恥心や罪悪感を持つ自らを罰する
・誰かに話すことが不可能と思われる時、惨めであることと助けが欲しいことを伝える手段
・自傷は人生のどこかで見失ってしまった何かできるという感覚を甦らせてくれる

何が助けになるか?
→自傷している人に、自傷行為はごく一般的で、それをやっている人は決して独りではないことを知ってもらう。
→あなたの住む地域で、専門家の支援を得るには誰に相談すればよいかを彼等が知っていることを確かめる。
→一部の専門医は、自傷している子供に自傷を止めるには彼等の生活や環境の何を変えて欲しいかを尋ねるよう示唆します。
→もし自傷していることをあなたに打ち明ける勇気がある人がいたら、その負傷の程度にかかわらず彼等に丁寧に接する姿勢がきわめて重要です。あなたの対応は彼らにとても大きな影響を及ぼすので、注意深く行って下さい。
→孤独な感情はしばしば問題の一部なので、可能な時は自傷している子供にいつでも話が出来ることができるようにしておくことが、とても大事なことです。

 自傷はたいてい苦しく辛い感情に対処するための手段です。一部の人は苦しさに耐え切れず、どうして対処して良いか他に方法が見つからず自傷することがあります。それは、通常内密な問題で、動機と方法は一人一人異なります。いくつかの自傷の方法は深刻な危険性をはらんでいますが、自傷する人がいつも自身を深く傷つけようと思っていることを意味しません。

出典:Home>How we can help>In schools>DEAL:Developing Emotional Awareness and Listening>DEAL:resources>DEAL: dealing with feelings





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