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サマリタンズホームページより/30号

 

2022年7月1日発行

■サマリタンズから寄せられたメッセージ

解題: 「サマリタンズホームページより」の第1号を2013年11月に発行し、今回30号を発行する運びとなりました。 これまで、節目の10号、20号ではサマリタンズの記事以外に、他センターの読者から寄せて頂いた本欄への感想文など掲載してきました。30号を発行するに当り、ホームページから多くを学んでいることを1〜29号の一覧を添えてサマリタンズの会長に伝え、 日本の読者にメッセージを頂けたら有り難い旨手紙を出したところ、懇切な返事が届きました。以下、その返信の全訳です。自殺を防止するには世界中の人々が見識、経験を共有し、活動でそれを生かすのが大事と書かれています。


Dear Mr. Naitoh       2022年2月1日
 お手紙ありがとうございました。あなたと日本いのちの電話の皆様が、私たちがホームページを通じて共有している記事と最新情報を興味深く読んで頂いていることを知り、とてもうれしく思っております。
 サマリタンズは英国とアイルランド共和国に拠点を置き、私たちが提供する支援活動のほとんどはそこに住んでいる人々に対して行っています。一方、自殺する人をなくすという共通の理想を共有している世界中の人々から私たちが学んでいるのと同様に、 私たちの見識、経験および調査研究が世界中の人々と組織に役立っているのを認識しています。

 実証を積み重ねるという観点から、サマリタンズは国際的な協調と見識を共有することをとても大切に考えています。私たちの調査研究チームは、国際自殺防止協会(InternationalAssociation of Suicide Prevention) および国際調査集団(International research commu-nity)と、用いている手法が最も効果的であるかどうか、および最新の調査結果を共有しているかどうかを確証するため密接に協働しています。 私たちは現在IASP(国際自殺防止協会)の「電話相談の効果的な手法を追求する分科会」の共同議長を務め、世界ビフレンダーズ(Be-frienders Worldwide)の会員です。世界中の見識を集め共有することが、自殺防止について共通の学びを深めて行くのに欠かせないと私たちは固く信じています。 また、支援を必要としている人へ私たちが提供する電話相談サービスでどんな手法が有効なのかを学ぶ上でも、世界中の見識を集め共有することが欠かせないと確信しています。

 戦略的な観点から私たちは、英国とアイルランドにおいて政策とその実行に影響を与える手助けとなる調査研究も活用し「この一年、コロナウィルスの世界的流行がいかに私たちの健康と自殺傾向に影響を与えて来たか」 (One year on:how the coronavirus pandemic has affect-ed wellbeing and suicidality)という報告書を昨年公表しました。この報告書は、人々の健康と自殺傾向にコロナの世界的流行が与えた強い影響について、電話相談を通じて集めた重要な見識を包括しています。 私たちの調査報告には傾聴ボランティアへの聞き取り調査と同様、電話やメール相談で日常収集した匿名データの分析が含まれています。あなたの読者のご参考になればとコピーを同封します。

 もし、あなたがサマリタンズの調査活動についてさらにお知りになりたければ、調査と評価の部門を統括する Dr Elizabeth Scowcroft に是非お問い合わせ下さい。

 宛先は research@samaritans.org です。
 Keith Leslie, Chair of Samaritans in UK and Ireland
 keith.leslie@samaritans.org 

■パンデミックによる影響
解題:サマリタンズ会長からの返信に同封されていた報告書「この一年、コロナウィルスのパンデミックがいかに私たちの健康と自殺傾向に影響を与えて来たか」の要約(Summary)の部分を訳出しました。


 コロナウィルスによるパンデミックが、人々の生活にとてつもない影響を与えていることは疑いのないことです。サマリタンズは英国とアイルランドにおいて、人々の健康と福祉への直接の影響を見て取っています。 英国で規制が始まった2020年3月23日以来の一年に、サマリタンズは電話と電子メールで生きることに苦しんでいる人に、2.3百万回以上こころの支援を行ってきました。これらの支援のうち、5人のうち1人がコロナウィルスについての特別な不安を抱えていました。 この報告書は、電話と電子メールで受けたサマリタンズの匿名記録データの分析と、規制が始まってからの一年間に7つの項目について実施された傾聴ボランティアへの一つ目の聞き取り調査、で構成されています。

 この報告書は、NHS(National Health Ser-vice)のための専用ヘルプラインでサマリタンズのボランティアが加わったグループと英国とアイルランドで社会福祉に携わる人(social care workers)とが見いだした二つ目の分析も含んでいます。 同様に、「英国のCOVID-19こころの健康と福祉の研究」(UK COVID-19 Mental Health & Wellbeing study)の一部として集められたデータも含んでいます。なお、この研究は、サマリタンズが資金援助しグラスゴー大学(MHWS)の研究者によって主導されたものです。 本稿を書く時点で、パンデミックの期間に於ける正式な自殺率は発表されていません。この報告書は、これまでのデータが国民の自殺率が増加していないことを示す一方で、これが確かであるとするのは早過ぎるとしています。 これまでのデータは地域や特定のグループについて採取されたものではなく、経済的な不況によって長期的に何か起るかを示すものでもありません。

 規制が発せられた最初の数ヶ月、病院やかかりつけの医師(GP: general practitioner)にかかる頻度が減り、パンデミックの期間に人々は自傷と自殺未遂のサポートを得るのに苦労したことを、この報告書は示しています。 このことは、自傷率の低下によって裏付けされていません。ある事実はパンデミックの進行中、自殺念慮の増加を指摘していますが、これは確かでありません。

 コロナウィルスはサマリタンズに支援を求める人の人生にいろんな形で影響を与えてきました。次の事実が分りました:

・サマリタンズで受け止めたコロナウィルスについての不安は2020年4月がピークで、英国のロックダウンの時期が反映しています。これは、規制がよりきつい時期にコロナウィルスが社会全体の不安であったことでもあります。
・規制が始まってから午前2時から6時にかけて、昨年と比較し12パーセント相談電話が増えました。
・コロナウィルスに関する電話は平均24分で、他の電話(平均17分)よりも40パーセント長くなりました。
・規制の最初の頃、アイルランド共和国では、特に午前1時から6時まで、30分以上続く電話が増加しました。

コロナウィルスのドミノ効果は人々の福祉に多くの面で影響を与えました。次の事実が分りました:

・規制が始まってから一年、こころの病と健康は社会の多くの人が懸念する課題でした。そして、その事は昨年に比べ少し増大しました。以前からこころの健康に問題を抱える人々が、最も影響を受けているように見受けられます。
・孤独と孤立に関する電話はコロナウィルスに強く関連していて、この関連性は他の電話よりも2倍くらい高いです。人々の孤独の感情に、長引く規制の閉塞感が溜まっていったように見えます。
・家族の心配事に関する電話の50%前後、コロナウィルスについての具体的な不安が含まれています。この人々の不安は、愛する人と離れ離れになっていることの心配から、身近で生活することによる負の影響までおよんでいます。
・お金と仕事に関する不安はパンデミックの不安と密接に関係しています。そして、失業するかも知れないそして現実に失業したことの不安は、将来についての不安に密接に繋がっています。

コロナウィルスがあらゆる人の生活を変えた一方で、パンデミックが他の人々よりもあるグループの人に自殺リスクの強い影響を与えたことを事実が示唆しています。この報告書は特に心配される5つの特定のグループを取り上げています。

・心の健康に問題を抱えている人は自殺の危険性を増大させました。そして、 心の健康を診てくれる窓口、友人や家族、あるいは地域サービスなどの支援に辿り着くまでの困難が加わり、苦しみの原因の鍵となってきたことを、私たちの調査が示しています。
・若い人は、自傷と自殺率の増加に、ここ数年直面して来ました。そして規制の期間中、家族との緊張感、同僚との触れ合いの欠如、そして彼らの見通せない将来に悩んで来たことを、私たちの調査が示しています。
・中年男性はここ何十年か最も高い自殺率に直面しています。このグループについての鍵となる危険要素、例えば一人でなんとかせねばという自覚とともに、人間関係の崩壊、失業がこのグループの健康と福利に影響を与えていることを、私たちの調査が示しています。
・医療従事者はパンデミックの結果として、生活と仕事に重大なそして直接の影響を受けてきました。ストレスと燃え尽き症候群、家族を感染させてしまう恐れそして仕事に出ることの心配が、サマリタンズに電話してきたことの共通の理由であることが私たちの調査で分りました。
・刑務所の受刑者は、パンデミック以前一般の人より自殺率がかなり高い状況でした。そしてパンデミックによる独房で過ごす時間の増加、諸活動の減少、家族の訪問の欠如が彼らの健康と福利に強い影響を与えたことを私たちの調査が示しています。

自殺率について安堵できる余裕はなく、パンデミックが起こる前でさえ増加しています。私たちはワクチン接種の開始とソーシャルディスタンス規制の緩和というパンデミック対応の新しい局面に入って行くので、政府は自殺防止を努力の中心に置く必要があります。


■これまでの記事から
解題:節目となる30号を発行するに当たり、これまで発行した1〜29号をふり返り、和訳の会のメンバーが読者の皆様に特に注目して頂きたい記述をピックアップしました。くわしくは埼玉いのちの電話ホームページの「サマリタンズのHPから」の各号をご覧下さい。 31号にも続きを掲載予定です。

■「電話の誤用」について

 私たちは話す場所が必要な人のために電話に出ています。しかし、電話を受けられないいくつかの例外があります。私たちを脅しあるいは傷つけて警告にもかかわらず止めない場合、それが極端な場合は警察に連絡したり、法的措置を取ることがあります。これらの場合、私たちはあなたの情報を当局に提供します。(ニュース1号)

■「あなたは私の自殺を止めますか?」とのコーラーの疑問に答えています
 私たちはそうする事を望みます。私たちと話す事を通じ、あなたは自分の置かれている状況を、異なった観点から見られるようになるでしょう。しかし私たちは、命を絶つことを含めあなた自身が決意する自由を尊重します。私たち は、あなたが自殺の実行中でも、あなたとの話しを続けます。(ニュース3号)

■身分を外部にオープンにすることについて一人の相談員が語っています
 サマリタンズでの活動をオープンにすることの良い面は、秘密にしておく理由をはるかに凌ぐと思います。最も重要なものの一つは、サマリタンズは普通の人であることを世界に広める機会になるということです。(ニュース5号)

■私たちは専門家でなく、普通の人
 私たちは普通の人なのです。医師でなく、精神分析医でなく、財産運用のアドバイサーでなく、喪失をケアするカウンセラーでなく、あるいは他のどんな専門家としてではなく? 基本的に、心の優しい(でも、よく訓練された)耳を提供するだけなのです。(ニュース5号)

■無言電話についての記述です
 「サマリタンズに一度電話したという婦人に、最近会いました。彼女は言いました。『私は話をしませんでしたが、それはどうでもよかったのです。そこに誰かいるのを知っていたからです。電話の向こうに心配してくれる人がいました。そして受話器を置きました。』その効力は驚嘆すべきです。」(ニュース5号)

■サマリタンとは
 「サマリタンは深い穴の縁に立って、元気なくひどい鬱状態で穴底に横たわっている人を見ているような感じです。」エイドリアンは締めくくります。「ある人の反応は、ロープを投げ下ろすこと、他の人は、大声でアドバイスを叫ぶことです。サマリタンは穴に下りてゆき、その人の隣に座り、そしてただ抱きしめるのです。そのように単純なことなのです。」(ニュース5号)

■サマリタンズの相談員育成の方法
 徹底的な研修(3時間単位で数週の間に8回)の終了後、教育者(メンター、経験あるボランティア)とペアを組み、あなたはこの教育者を見習います。この教育者は6ヵ月間にわたりあなたと一緒にシフトに就きます。その後、活動期間を通じあなたは継続した研修を受けます。(ニュース6号)

■傾聴ボランティアとは
 傾聴ボランティアは、201ある支部の一つで、電話、Eメール、手紙、そして面接で、相談を寄せる人に対応します。それまでの経験や、資格は必要ありませんが、人に興味があり、広い心を持っている必要が絶対にあります。(ニュース6号)

■見知らぬ人だと話し易い
 見知らぬ人と話す方が、よほどやり易かったです。それがサマリタンズに電話した理由です。話したボランティアは私を落ち着かせてくれ、状況を明確に理解する手助けをしてくれました。私は、誰かにこうしなさいと言って貰いたくありませんでした。話を聴いて欲しかったのです。サマリタンズのボランティアはこれをやってくれました。(ニュース8号)

■ただ聴いてくれた
 「私が話しをした婦人は、ただ聴いてくれました。彼女は私が何をすべきかを言いませんでした。泣くままにさせてくれ、私が話せるようになるのを待ってくれました。彼女の声にあった温かさを思うと、今でも泣いてしまいます。彼女は心から心配してくれているように思われました。」(ニュース8号)

■男は強くあらねばという文化
 男には強くあらねばという文化があって、誰も弱さを見せたがりません。しかし、電話を取り上げて問題を話す必要があるのです。今になってみれば、私は誰かと話ができたのです。誰とでも本当に話ができたのです。(ニュース11号)

■ボランティアの報酬
 いつもシフトから持ち帰ることは、「満足感を与える要素」です。前向きな人々と一緒の環境で働き、そこにいることだけで誰かの人生に多大な変化をもたらす、と時折言われることが、私にとって充分な報酬です。これが、調子が悪いときの私にやる気を起こさせ、良い状態に導いてくれます。これが、サマリタンズのいつもあるべき姿、と私は思っています。(ニュース12号)

■三つの言葉でいのちは救える
 サマリタンズCEOのルース・スザーランドは次のように話しています。「その人が抱えている問題について話すように励ますたった一つの簡単な質問(Are you OK?)が、その人の孤立感を軽減する助けとなり、同時に生き抜くための道を見つけることをより容易にするのだから、我々はもっと勇気を持ってその質問を発しなければならない。」(ニュース13号)


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