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サマリタンズホームページより/23号

 

2019年9月2日発行

■刑務所での私たちの活動

解題:サマリタンズのボランティアが受刑者の自殺や自傷行為を減らすために、刑務所で行っている活動についての情報です。最初に、「サマリタンズの刑務所での活動」について、続いて「傾聴の仕組み」、「刑務所内でのボランティア活動」、「刑務所内での生活への対処」について紹介します。 受刑者を傾聴者に教育したサマリタンズのボランティアや、その教育を受けた傾聴者が(刑期を終えた後で)述べた言葉も添えられています。


 刑務所の受刑者は、刑務所内での自殺と自傷行為を減らす活動をしている私たちに、さまざまな方法で連絡をとることが出来ます。受刑者と刑務所の職員は、以下の方法でサマリタンズのサービスを利用できます。

傾聴の仕組み
 サマリタンズのボランティアは、困難で苦しんでいる人あるいは不安や怖れを抱いている人に、内密な仲間による支援(confidential peer support)を提供するため、受刑者を選び訓練します。

電話による支援
 全ての刑務所は、受刑者にサマリタンズ・ヘルプラインへの無料アクセスを提供するよう求められています。

相談の手紙を受ける支所
 もし受刑者が望むならば、私達に手紙を書くことができます。私達は無料で手紙を出せるサービスを提供しています。従って、切手を買う必要はなく、無料で郵送できる封筒は刑務所の共用区域で通常手に入ります。
 Freepost RRYU-CBCR-TRSX
 Samaritans, PO Box 90 90, Stirling FK8 2SA

面談よる支援
 傾聴の仕組み(Listener scheme)を利用できない刑務所では、サマリタンズの支所のボランティアが刑務所を訪問し、面談による支援を提供します。受刑者が一時的に許可を貰ってサマリタンズを訪問することもあります。

刑務所の職員への支援
 刑務所の職員もサマリタンズと自由にコンタクトすることができます。私達の活動は留置中での自殺の後で特に重要です。これらの悲しい事態で、私達は職員と受刑者の両者を支援する重要な役目を果たします。

出典> Home> How we can help> In prisons>Our work in prisons


傾聴の仕組み(The Listener Scheme)
 自殺を減らす責務の一つとして、私達は、受刑者を“傾聴者”に育て、他の受刑者を精神的にサポートできるよう教育します。

賞を受けた私達の傾聴の仕組み
 傾聴の仕組みとは、刑務所内の自殺と自傷行為を減らすことを目的とし、仲間により支援する取り組みです。サマリタンズのボランティアは、受刑者が傾聴者になるための人選、教育そして支援を行います。傾聴者は苦しんでいる受刑者仲間に、内密で個人的な精神的支援を提供します。

 最初の傾聴の仕組みは1991年にSwanseaのHMP刑務所(Her Majesty’s Prison)で導入されました。現在は、イングランド、スコットランドおよびウェールズのほとんどの刑務所が導入しています。

北アイルランドとアイルランド共和国でも傾聴の仕組みの導入数が増えています。2015年に89,752件の刑務所面談が行われました。 2015年末時点で1,803人の受刑者の傾聴者が活躍しています。

 「傾聴の仕組みがあることで、刑務所は、所内で自殺あるいは自傷行為を考えている受刑者の考えを改めさせる、自在に使える驚くべき手段を持つことになります」
    ――刑期を終えた傾聴者 Alex Audain

どのように傾聴の仕組みは役立つか?
 サマリタンズのボランティアは刑務所の職員と協働し、傾聴者になることに興味を示した受刑者を選び教育します。選ばれた受刑者は、集中した研修コースに参加します。これはサマリタンズのボランティアが受ける研修を基本にしていますが、刑務所向けの設定になっています。
研修が終了すると傾聴者(Listener)に認定され、サマリタンズの方針と(考え方などの)価値観に従うことに同意します。

 刑務所は、必要としている誰もが24時間利用できるよう、充分な人数の傾聴者を配備するために努力します。支援は完全な機密性を保つため、個人別に行われます。機密の方針はサマリタンズのボランティアが守るものと同じです。 この仕組みが完全に個人別に行われることを知ることは、受刑者が助けを求めやすくし、彼らに何が起きているのかを語らせる勇気を与えます。傾聴者が刑務所を出た後でも、傾聴者として行ったことの機密は完全に保たれます。

 傾聴者は手当ての支払いを受けることはなく、彼らの任務に対しどんな特典も受け取ることもありません。

支援
 傾聴者は定例のサポートを受け、サマリタンズのボランティアとしばしば面会します。傾聴者は支援についていつでもサマリタンズに電話することができます。

  「当初は、ある職員からは容易に受け入れられませんでした。彼らを刑務所に入れ終身刑にするという古い態度だったのです。
今は、この仕組みが大きな効果をもたらすと考え、さらに傾聴者になる人だけでなく、助けを必要とする人にも重要と考える刑務所職員により、より多く受け入れられています」
  ――サマリタンズのボランティア Maureen

刑務所の職員への支援
 刑務所の職員もサマリタンズと自由にコンタクトすることができます。私達の活動は留置中での自殺の後で特に重要です。これらの悲しい事態で、私達は職員と受刑者の両者を支援する重要な役目を果たします。

傾聴の仕組みの経過
 1980年代、刑務所における自殺数が増加し、1991年に最初の傾聴の仕組みがHMP刑務所 Swanseaに導入されました。スコットランドの最初の傾聴の仕組みは、1994年エディンバラのSaughton刑務所で開始されました。 現在、一つを除き全てのスコットランドの刑務所でこの仕組みがあります。アイルランド共和国の最初の傾聴の仕組みは2002年に開設されました。現状6つの傾聴の仕組みがROI(アイルランド共和国)全体で開設されていて、 この他にも計画されています。北アイルランドの最初の傾聴の仕組みは2002年に開設されました。

 この傾聴の仕組みは2016年、25周年の記念日を迎えました。

出典> Home> How we can help> In prisons> The Listener scheme


刑務所でのボランティア活動
 受賞した「刑務所内の傾聴の仕組み」を支援したボランティアの話

  「傾聴者は最初に研修を始める時、ちょっとやってみる感じですが、やがて実を結びます。彼らは目標を持つ自覚を身につけ、彼らを仰ぎ見る仲間からの敬意を獲得します。 ある人にとっては、自己の殻から抜け出し、他人の殻に入って行くという初体験なのです」
  ――サマリタンズのボランティア Stella

刑務所でのボランティア活動
 人びと(受刑者)は私たちの刑務所での支援活動に携わることにしばしば興味を示します。通常、刑務所でボランティア活動するサマリタンはより経験のある人です。 支所の刑務所支援チームに応募する前に、支所で少なくとも6ヶ月の経験があることが推奨されます。各々の応募書類は個人別に審査され、ボランティアは刑務所の安全を守るチームから認可される必要があります。

 他の地域奉仕活動のように、刑務所でのボランティア活動は、私たちが電話や電子メールで提供している中心的なサービスに付加する形で行われる、と理解するのが大事です。

 刑務所での支援に興味を示す最初のステップは、サマリタンズのボランティアになることついてさらに知ることに繋がります。地方の支所は喜んであなたの声をお待ちしています。

   「人が変わることを見ることで、とても大きい達成感を得ています。いつも頭を下げていてあまり喋らないことを自分でもわかっている一人の若い男子が、自身の殻からだんだんと抜け出て、 これまでにない自信を手に入れたことを特に思い出します。彼が大きく変わって、傾聴者になったのを見ることにとても満足しています」
  ――サマリタンズのボランティア Maureen

出典> Home> How we can help> In prisons> Volunteering in prison


刑務所での生活への対処
 サマリタンズは自殺と自傷行為を減らすため、新しい受刑者が自己の生活に対処することを支援する教育を、以前受刑者であった人達に行っています。

  「刑務所では多くのことで自分を見失います。しかし、あなたの気持ちはあなたのものです」
  ――刑務所の前傾聴者 Alan

 自殺の危険性は受刑者が刑務所に入る時、あるいは刑務所を移る時高くなり、自殺の危険性は約10倍になります。感情をうまく処理できることは、自殺の危険性を和らげる働きをします。

 刑務所にいる経験のある教育者は、二つのロンドンの刑務所で新しい入所者の精神的回復力を強めるため、試験的な活動を行いました。入所者10人のうち9人までが、その活動が有効と思うと述べました。 サマリタンズは英国拘置所(Her Majes-ty’s Prison)と保護観察機関(Probation Service)と連携し、この方式の成就に務めています。

  「自傷行為と自殺は刑務所で増加しており、人が困難に対処するための前向きな方法を見つけることを手助けする講習は、内部での暴力行為を減らし、受刑者が出所する時彼らの行動に変化をもたらします。 このことは生活態度を変え再犯を減らす機会を彼らに与えます」
  ――刑務所の前傾聴者 Steve

出典> Home> How we can help> In prisons> Coping with life in prison


■自殺についての俗説

解題:自殺に関しては事実と異なるいくつかの俗説があります。生きることに苦しんで自殺したいと語る人に、事実を正しく理解して対応することで、彼らのいのちを救えるかもしれません。いくつかの俗説と事実を紹介します。


 事実を理解しておくことは、生きることに苦しんでいる人を支援するあなたの助けになります。

俗説:自殺したいと語る人は本気ではなく、実行することはない。
事実:自殺する人は人生が生きるに値しない、あるいは希望が持てないとしばしば語ります。中には実際に死にたいと口にする人もいます。一方、気遣って欲しいことで自殺について語る可能性もあります。 自殺したいと語るどんな人も、慎重に対応することが極めて重要です。

 自殺したいと感じている人の大半は、実際には死にたいと思っていません。今の人生を生きたくないと思っているのです。

俗説:もし人が本当に死ぬ気でいるなら、助ける手立てはない。
事実:長い間落ち込んで不安を感じていて、あるいは生きることに苦しんでいる人でも、自殺したいと思う気持ちはしばしば一時的です。それゆえ、時を得た適切な支援がとても大切です。

俗説:自殺したいと思う人は精神的な病気にかかっています。
事実:人生のある時期に5人のうち1人は自殺したいと思っていて、自殺時に全ての人が精神衛生の問題を抱えているわけではありません。しかしながら、自殺する多くの人は、大抵は重い精神衛生の問題で苦しんでいます。 そのことは、自殺する前に分かっている場合もあり、分かっていない場合もあります。

俗説:自殺したいと思っている人は死にたいと思っている。
事実:自殺したいと思っている人の大半は、実際には死にたいと思っていません。今の人生を生きたくないと思っているのです。その相違は小さいと思えるかも知れませんが、実際はとても重要で、時を得た人との対話が欠かせないのです。

俗説:自殺について語ることは、それによって誰かが自殺を試しみるかもしれないのでよくないことです。
事実:自殺は話してはいけない話題(taboo topic)になりがちです。多くの場合、自殺したいと感じている人は、人を心配させたりあるいは精神的負担を負わせたりしたくないので、それについて語りません。

 しかし、自殺について率直に訊ねることで、どんな思いでいるのか語ってよいのだという気持ちを彼らに持ってもらえるのです。自殺したいと思ってきた人は、彼らが直面している苦しみについて話せる事がいかに救いになったかをよく語ります。

 人は話し始めることで、自殺する以外に道があることを発見するよりよい機会を得ます。

  「人に自殺したいと思っているかどうかを訊ねることが、彼らを守れることを事実が示しています。彼らは耳を傾けてもらっていると感じ、追い込まれている状態から少し解放されたと感ずるかもしれません。 彼らの気持ちは認められ、誰かが彼らに気遣ってくれていることを知るのです。手を差し伸べることはいのちを救うのです
  ロリー・オコナー(グラスゴー大学健康心理学教授)

俗説:殆どの自殺行為は冬に発生している。
事実:自殺行為は複雑で、暑い寒い、日の光の多少など、単に季節や気候に関係しているだけではありません。概して、自殺行為は春に起りやすく、元旦にその危険の目立ったピークがあります。

俗説:自殺を予告する人は、単に注目を集めたいのであって深刻に対応すべきでない。
事実:自殺したいと言う人には常に慎重に対応すべきです。彼らが助けを強く求めることで注目を集めたいとするのは、良いことかもしれません。そして、彼らが支援を受けられるようにしてあげることが、彼らのいのちを救うかもしれないのです。

出典> Home> How we can help> Support and information> If you’re worried about someone else


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