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サマリタンズホームページより/第10号

 

2015年10月15日発行

10号記念号に寄せて

 2013年11月3日に「サマリタンズ・ニューズ」NO.1を発行しました。
1年7か月経った現在、9号まで発行しました。正直言って、ここまで続くとは考えていませんでした。楽しみながらの和訳と次号を待ち望む熱心な読者がいたことでここまでやってこれたと考えています。
 区切りの10号ということで、二つのセンターの相談員の方に感想と意見を書いていただきました。お読みいただければ幸いです。

■Samaritansニュースの衝撃
  横浜いのちの電話相談員

 2013年秋の東日本広報担当者会議YOKOHAMAの席であったか、埼玉の広報委員から面白い話を聞いた。サマリタンズのブランチはおよそ200で相談電話のつながらない率が5-6%くらいというのである。まわりからは国民性が違うから参考にならないとか言われたが、よくても5%前後しか電話をとれていない日本の状況とは決定的な差だ。何がその違いを生んでいるのであろう。そんな興味から、埼玉の広報担当者を通して「Samaritansニュース」を読ませていただくこととなった。

 いのちの電話の3つの課題は、@資金難A人材難Bつながらない、である。@とAについては、さまざまなNPO、NGOをはじめとするボランティア団体同様の悩みだ。B つながらない、はいのちの電話ならではの悩みであるが、2010年の資料でも、相談員数で日本のおよそ3倍弱の17,330人のメンバーが、週に1回3〜4時間そして月1回5〜6時間の夜中の担当をこなしているようだ。これだけでも3倍のボランティア人員×2.5倍の担当数=7.5倍になる。日本も同様にすべきだとは言えないが、あらゆる原因を探ったほうがいいと思う。

 平均勤続年数などは分からないが、かなり相談員の流動性も高いのではないだろうか。また相談員以外におそらく1400人くらいの支援者が様々な運営に関わっているようだ。組織の管理運営、募金、会計、面白いのはIT支援というのもある。さまざまな能力が引き出され関わることができる体制が整えられているのであろう。

 日本各地のいのちの電話のホームページを見てもほとんど、人間の顔が出てこない。ところがサマリタンズのHPは人の写真があふれている。匿名性、守秘義務については日英で理解は同じだが、組織として地域に対する自己開示の仕方がまるで違うように感じた。

 サマリタンズのHPは様々な人々への呼びかけでできている。かけ手に対して呼びかけ、さらにはかけ手にシェアできる体験談をもらい共有している。相談員になりたい人には、相談員になった人の具体的なレポートを掲載するなどして語りかけている。また選考の基準や問い合わせにも応じている。同様に地域社会にも呼びかけ、メディアにも呼びかけ、相談員以外のあらゆる支援活動の可能性を分かりやすく募集している。閉じた秘密結社ではなく、助け合いの普通の人の市民活動であることがわかる工夫にみちていると思う。何より自己責任による判断と、組織としての判断のマッチングが素晴らしいのだと思う。

 又、掲載されている記事が、我々がすでに学んだ「傾聴」であり「共感」であるのだが、問題を抱えている人に如何に寄り添うかについて、さまざまなレポートが市民に対する社会貢献活動の教材にもなっている所が素晴らしい。

 見た目だけでなく内容も濃い変革を、日本のいのちの電話はサマリタンズのHPから学ばなくてはならないと思う。


■サマリタンズから学ぶ  愛知いのちの電話協会相談員

 昨年イギリス人の知人と話していた時、サマリタンズの話題が出て、「イギリスではどうなんですか?」とお聞きしました。彼の答えは「サマリタンズはテレビコマーシャルもやっていて、死にたくなったら電話するところだとみんな知ってます」と言いました。
 その直後に、埼玉がサマリタンズニュースを訳していることを知り、送っていただくようになりました。

 日本のいのちの電話は全国50センターですが、イギリスのサマリタンズは201の支部を持っています。人口比でいえば日本は約2倍ですので400ヶ所になり、人口30万人に1ヶ所の割合になります。そう考えるとサマリタンズは「地域の自殺防止センター」として住民に認知されているようです。また、電話相談以外にもEメール相談・対面相談・ショートメール相談などを行っており、電話相談だけでも232万件と日本の3倍以上あります。さらに、メールや面接の相談件数を合計すると39万件近くになります。そして、ボランティア数も日本の3倍近くです。

 サマリタンズと比較すると日本のいのちの電話はどうでしょうか。全国的なコマーシャルはやっていませんし、市民が「死にたくなったら電話するところ」という状態になっているとは言えません。平均的に人口240万人に1ヶ所しかセンターはありません。地域の自殺防止センターとして住民に認知されているとはとても言えない状況です。むしろ、「地域とは離れたコールセンター」になっているのではないでしょうか。

 私たちは全てのことをサマリタンズと同じようにやる必要はないと思います。しかし、私たちとして謙虚に学ぶ必要があると思います。

 愛知いのちの電話協会では、まずできるところからはじめようということで、相談員のカムバックキャンペーンを始めました。これは、介護などでボランティアから遠のいてしまった相談員へ再度声掛けをして戻っていただくキャンペーンです。また、養成講座の募集もさまざまな工夫をして受講生を増やす努力をしています。

 これまであまり行われてこなかった、地域のイベントなどへの出展も始めました。企業の行うお祭りへの出展や名古屋市の若者自殺対策イベントへの出展、市民講座や市民コンサートなど、一般市民の方にいのちの電話の活動を知っていただく機会を増やしました。

 名古屋市と提携して、市内の各区の生涯学習センターで傾聴講座・親学講座・女性講座などをいのちの電話の講師で行い、広報と啓発を進めています。

 これまで東京を中心に行われてきたインターネット相談へも参加することができ、微力ですが愛知として返信をすることができるようになりました。

 これらのことはまだ最初の一歩にすぎません。しかし、新しい方向性を持っておこなうことであらたな視界が広がることもあると思い、今年も継続して行っています。


■最近のサマリタンズに関する情報

解題:フリー百科事典「ウィキペディア」によれば、サマリタンズの創設者であるチャッド・バラー(ニュース第2号参照)はサマリタンズから脱退したという。また、サマリタンズHPより、サマリタンズが行っている援助活動に関する最新の数字をいくつか。


チャッド・バラー サマリタンズと袖を分かつ(ウイキぺディアより)

 2004年、チャッド・バラーはサマリタンズに幻滅したと発表し、以下のように語った。「サマリタンズは今や私が開設したものとは違ってきた。私は自殺傾向のある人やそれと同じくらいに絶望している人に援助を提供するための組織をつくった。最近のサマリタンズの議長は組織の意味づけをし直した(re-branded the organisation)。それは、危機介入のサービスを提供するところではなく、情緒的サポートをするところとなっていた」と。
 かかってくる電話の5本中の1本が自殺の気持を持った人からだ。サマリタンズのビジョン(目標)は自殺による死者をより少なくすることだ。

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Samaritans_(charity)



ボランティア数がここ10年で最高  ―2014年6月2日 (サマリタンズホームページより)

 サマリタンズの人数は2013年においてここ10年間で最も高い21,200人に達したことが今日発表された。同じ年にサマリタンズの機関は523万件の相談を受けた。この数はここ5年間で最も多い件数だ。ボランティアに関するウェブサイトを通しての2013年の問い合わせが30,800件だった。サマリタンズの組織は困難な中で戦っている人々を支援する寛大で勤勉なボランティアに全て依っている。

 サマリタンズは2013年、メール相談件数が前年と比較し12 %上がっている。と同時にText messageも15%上がっている。自殺感情を伴った相談は全体の22 %で、2012年と同じに留まっている。サマリタンズのボランティアは2013年、サマリタンズのサービスを知ってもらうために、地域コミュニティにおいて5,500件のプロジェクトに参加している。これらのプロジェクトには、フェスティバル、学校行事、鉄道等の催物が含まれる。

 サマリタンズの会長であるStephen Hoddell氏は以下のように述べている。
 ボランティア数の増加、また、将来ボランティアになる可能性のある人からの問い合わせ数が記録的であったことに心躍ります。サマリタンズ組織はこれらの寛大な人々の参加なしには成り立ちません、ということで、私はこれら全ての人々の努力(勤勉)と献身に感謝をしたい。サマリタンズのコーラー(callers)はラインの先で親身に受け入れてくれる人間、本当に耳を傾けて聴くよう訓練された人間、と出会うことで利益を受けていることを私たちは知っています。

 何歳であろうとも、サービスを受けている期間が長かろうとも、ボランティアは幾つもの異なったチャネルを通して差別なく素晴らしいサービスを提供します。サービスを利用する件数の増加は、できうる限りのボランティアが必要であることを示しています。相談電話で耳を傾けると同じように、運営や寄付金集めや、技術を利用するIT等、サマリタンズ活動に参加する道はあります。

 
(注)
523万件の中には、電話相談、メール相談、SMSメール相談、手紙相談、対面相談(支部の内外での面接、刑務所での面接を含む)が含まれる

出典:Home > News > Samaritans'numbers hit ten year high in time for Volunteers'Week




■アイルランド共和国でサマリタンズに電話をかける

解題:サマリタンズは、中央オフィスのほか、アイルランド、スコットランド、ウェールズにもそれぞれ支部を設置しているが、今回はそのうちのアイルランド支部の話。

116 123番にかけて下さい(無料電話)

 私たちに最も早くつながるのは電話です。私たちは毎日昼でも夜でも話を聞くことができます。私たちはあなたを悩ましているどんなことでも話ができ、あなたにとって望ましい回答を見つけることができるよう手助けできます。そして支援を提供できます。もし望まなければ、本当の名前や、個人的な情報を言う必要はありません。

116 123番について
 嬉しいお知らせがあります。アイルランドにある6つの大きな電話会社がフリーダイアル「116 123」を支援することになりました。アイルランドから116 123番を利用した場合、電話料金は請求されません。
 Torlach Denihan電信電話連盟議長は「命に関わる仕事をしているサマリタンズを企業として手助けすることは喜びです。また、厳しい経済景気に逆らって、6大電話会社がサマリタンズのこの率先した事業の支援を決断したことは特に喜ばしいことです。サマリタンズの仕事を支えることは尊敬に値することです」と語った。

可能な限り早くつながりたい
 あなたが電話をかけても、あなたに最も近い支部が話し中だった場合には、あなたの電話はその次に近い支部に転送され、あなたの電話が通じるまでそれが繰り返されます。このようにしてあなたがつながらないことを防ぐ努力をしています。勿論、あなた方の誰もが直ぐにつながることを目標にしていますが、しかし、そのことをいつも保証はできません。それは、その時に電話の前にいるボランティアの人数によるのです。しかし、9本かかってくる電話の中の8本は最初に繋がります。

私達は難しいことを知っています
 人に助けを求めるには大変な勇気が必要です。そして、悩み事が何であるのかを話すのは難しいことです。最初にその悩みを大きな声で話したり、書きだしてみることはどんな悩みに立ち向かうにも大事なステップです。焦らないで時間をとること、あなたが必要とするところから始めるのが大切です。
 電話での対話はあなたが必要とする時間だけ続けることができます。何人かの人は数時間の対話が続きます。何人かは私たちがそこにいるかを確かめるための短いものです。時間のことは気にしないでください。

全てのボランティアから同じ支援を
 一般的に、あなたが電話をするたびに違ったボランティアとあなたは話すことになります。私達の優先事項を確認しておきたいのですが、それは、あなた方ができるだけ早く支援を受けることです。そこで、私達は一番早く支援が可能なボランティアを探します。

プライバシーに関して
 サマリタンに電話をした時、あなたの電話番号はボランティアには表示されません。私たちが使用している電話機はかけ手の電話番号が表示されないものです。

活動への支援
 私達の活動は手遅れにならない前に手助けするものです。しかし、私達の活動は慈善事業団体(社会福祉団体)です。あなた方の心ある寄付が相談電話を常にオープンにしています。もし、できましたら、今日私たちを支えてください。

出典:Home > How we can help you > Contact us > Calling Samaritans in ROI



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