広報誌

広報「埼玉いのちの電話」102号[PDF]

フリーダイヤル講演会より
  耳を澄ます  児童文学作家 齋藤惇夫氏

 今日の講演会では、いのちの電話の相談員さんに向けて何を話そうか迷いましたが、40年ほど福音館書店で子どもの本の編集をし、自分でも書き、今は幼稚園の園長で子どもたちに絵本を読んでいるので、今でも子どもたちが愛してくれている本について、お話をさせていただきたいと思います。



 一冊目は『よあけ』という本です。奥付に福音館で1977年に出版したとあります。絵本は奥付でいつ出版されたのかを調べてお買いになってください。おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さん、そして子どもたちの三代続かないと絵本と言えないという定義があり、子どもたちが愛し続けているものが絵本です。

 1970年代、東京の丸善書店で、美しく内容も素敵な洋書絵本を見つけ、福音館に持ち帰りましたが、絵本のセクションで評価が分かれました。そこで日本の絵本、ファンタジーに先駆者的なお仕事をなさっていた瀬田貞二さんのお宅にその日に伺い、一度目を通して頂けるようお願いすると、その瀬田さんが翌朝お見えになり、「これは柳宗元の詩です。訳したので読んでください」と言われました。英語にも長け、漢詩にも詳しい方のなんとも美しい訳文に大変感動しました。

 原詩は、漁師のじいさんが夜は岩陰で過ごし、夜明けが来ると湖の水を汲んで竹を燃やす。そして靄が消えて日が出ると山と水のみどりが現れた。人影は見えず、漁師の歌う歌声が聞こえてくるだけ、はるかに天の果てに顧みつつ流れを下れば岩の上から雲が無心に追ってくるというものです。

 この絵本は、作者のシュルヴィッツが、東洋の詩と、楕円に収める絵画形式、さらに遠近法を使って西洋と東洋との一致を試みた力作だったのです。瀬田さんが感動なさり、本にして欲しいと熱望されたので、慌てて版権を取りました。



つづきは広報誌で







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