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 このコラムを「万葉広場」と名付けました。
万葉集の名にあるように万葉とはよろずの言の葉を意味しています。 私たちが便利に使っている葉書にも葉の字が使われています。 戦国時代にタラヨウという木の葉の裏に文字を書き情報のやり取りをしたのが葉書の由来だそうです。
 「万葉広場」はいのちの電話の活動を推進している私たちが、日頃思っていること、 感じていること、心掛けていることなど、その一端を皆様に紹介する「言葉の広場」です。

コラム11  やるせない出来事

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 ボランティアの帰り道、駅始発の電車がホームに入ってくると、みんながいっせい に座席を埋めていきました。まだ二十歳前後の二人連れの女性の一人が先に坐ったら しく、隣の空席に手を置いて連れの女性に坐るように促しているのが目に入りました。 席を勧められた女性は、初めもじもじとしながら次第に大げさなリアクションで坐る ことを拒んでいました。
不可解な行動に視線を留めていると、その空席を挟んで隣の席の青年がいたたまれない表情をして、すくっと立ち上がり電車を降りてしまいました。 それで情況が解りました。彼女はその青年の隣に坐ることを拒んでいたのです。 隣の車両に行ってしまった青年の気持ちを知る由はありませんが、私は体中に不快というガスが充満してきたような気持ちになりました。
彼が立つ理由はなさそうです。
では何故彼女はそんな行動をしたのでしょうか。それはまるで好ききらいで駄々をこねる幼児のようでした。
青年が立ち去った後の車内の空気を感じたのか、その席に座った女性は場違いな笑い声を上げた後、ゲームに目を落とし上を向くことはありませんでした。彼女なりにば つが悪かったのかもしれませんが、なんともやるせない思いが残りました。後味の悪さが残る出来事でした。

コラム12  春の陽射しに誘われて

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この冬は、寒くて身も心も縮こまっていました。モグラには怒られそうですが寒い日は雨戸を閉ざし、全部放り出して、まるでモグラの様。
体を動かさなければ、と思いながらも気持ちが動きませんでした。

でも、この頃暖かくなって、雨戸を開けるようになり、少し体を動かしてみたくなりました。とにかく外に出なきゃ、の思いで出掛けてみました。
 荒川の支流の土手を歩いていると、ヨモギ、土筆、菜花、ギシギシの若芽、クコの新芽、スズメの豌豆等、季節の野草が生えていて、重かった気持ちがやっと、何かに向けて動いた気がしました。

野草を摘んでいると、そんな私は変な人に映るらしく、大方の人が、何をやっているんだかと、奇異の目で通り過ぎて行くように感じられました。
でも、野菜は、野草を食べ易く品種改良した物と、勝手に解釈している私にとって、収穫後どれだけ時間が経っているか分からない店頭の野菜より、摘み立ての野草の方がずっと新鮮だと信じているので、めげないことにしました。

時々、「何をしているんですか?」と声を掛けられ、食べられる野草の話をすると、感心して、摘んで帰られる方がいます。変な人じゃないよ、と言われたみたいでほっとしている私。「インターネットで食べ方を検索すると、丁寧に教えてくれていますので、参考にして下さい」と、言葉を添えて別れました。

ヨモギは草餅に、土筆は丁寧に袴を取って佃煮に、菜花はお浸しに、ギシギシの若芽は酢味噌和えに、クコの新芽は菜飯(なめし)に、すずめの豌豆はみそ汁の具にと、1〜2週間はほとんど野菜を買わずに過ごしました。
それと、産直(?)のおかげで栄養の損失が少ないからか、達成感があったからなのか、からだは勿論、心にも元気を貰った気がしています。

私は野草の成長に何も手を貸していませんが、土を耕し、その恵みを頂いていると語れる農家の人達の、文字通り、土に根ざし、地に足が着いた充実した生き方には、私には分からない、奥深い思いがあるのだろうと察せられました。

とても慈愛に満ちた、いいお顔の方は、そばにいて頂くだけで、ほっとさせられ癒されている気がしますが、農業を楽しまれている方にも、そんなお顔の方が多いと感じています。
そんな顔になれるように、ゆっくりと、地に足が着いた生き方が出来たらいいなぁと思うこの頃です。

コラム13  事業報告を見て思うこと

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埼玉いのちの電話のホームページ(HP)に幾つかの情報を掲載しています。“紹介先リスト(相談先)”、 “よくいただくご質問への返答(Q&A)”、“万葉広場(コラム)“、“ご意見・ご質問受付”などを追加してきました。
事業報告(埼玉いのちの電話の活動)もその一つです。2011年は約28,000件の電話を受けました。一件あたりのお話した時間は平均29分でした。20代の方の電話の比率はここ20年で約1/3まで減っています。若い世代の電話離れが相談件数にも表れています。一方、20代、30代の死因の第一は自殺です。
 繋がらない電話を少しでも繋がりやすくするにはどうするか、電話にかけて来られない若い世代の相談をどうしていくのか、私たちの課題だと思っています。
 ぜひ、ご意見・ご質問をHPにいただければと思います。今後の活動に生かして行きたいと思います。直接返答は現在行っていませんが、多くいただいたご質問はHP上で回答したいと考えています。

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