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 このコラムを「万葉広場」と名付けました。
万葉集の名にあるように万葉とはよろずの言の葉を意味しています。 私たちが便利に使っている葉書にも葉の字が使われています。 戦国時代にタラヨウという木の葉の裏に文字を書き情報のやり取りをしたのが葉書の由来だそうです。
 「万葉広場」はいのちの電話の活動を推進している私たちが、日頃思っていること、 感じていること、心掛けていることなど、その一端を皆様に紹介する「言葉の広場」です。

コラム42 「わたしはよろこんで歳をとりたい」


私は喜んで、、イラスト
 このタイトルの本が昨年10月に、こぐま社から出版されています。A5版で50頁程、美しい写真が沢山、詩のような言葉が並んでいる本です。

 著者はイェルク・ツインクというドイツの神学者で、元新潟いのちの電話理事長の眞壁伍郎先生が日本語に訳されています。

 実は、この本を日本の親しい人たちに是非読んでほしいと紹介したのは、あとがきに詳しく書かれていますが、日本のいのちの電話の産みの親と言われる、ドイツの宣教師ルツ・ヘットカンプさんです。 ナチスがドイツを支配した大戦のさ中、九死に一生をえて自分が不思議に生かされたことを実感し、自分の命は自分のものではない、そう心を定めて歩み続けた道が遠い日本でした。来日して、苦労して覚えた日本語で不安と苦労の日々が続いたといいます。 そしてやがて、希望を失い思い余って自ら死を選ぼうという人たちの、せめて何かの助けになろうと始まったボランティア運動、それが日本の「いのちの電話」のそもそもの発端でした。そして、ヘットカンプさんがまかれた種が、今全国のいのちの電話の活動として拡がっています。

 人生100年時代などと言われながら、年老いていくことに喜びを感じている人がどれだけいるでしょうか? 今まで当たり前のように出来ていたことが出来なくなり、物忘れが激しくなり、体力の衰えを感じたり、親しい人との別れに孤独感を募らせているのが現実ではないかと思います。

 でも、ツインクは語っています。
 「歳をとると 感謝の言葉こそが決め手になる
 もう自分がどんなに役に立つだとか まだ何ができるかなど
 それを実証する必要など さらさらない
 それよりも大切なのは かつての出会いや経験を思い出させる
 ごくごく小さな物たちだ
 壁にかかった絵や 小石の一つ おし花 一枚の写真
 そして何よりも手紙のかずかず これは人生の春と夏の証だ
 老いを生きるとは 人生の4番目の季節を生きる事だ
 わたしたちは その季節を 一歩一歩 知ってゆく
 人生の秋は 新しい命につながる」と。

 ヘットカンプさんが、日本の親しい人たちに是非伝えたかったこと、「喜んで歳をとる」 を味わっていきたい、とこの本を読んで思わされています。 (H.T.)  

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